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『プレスコードに関する資料』

「對等感を捨てよ」 マ元帥 言論統制の具体方針

マックアーサー元帥は九日日本管理方針に関する正式弁明を発表し、日本の軍國主義及び軍國的國家主義の根絶は戰後の第一の目的であるが、占領軍の一つの目的は自由主義的傾向を顫動することである。
言論、新聞、宗教及び集会の自由は占領軍の軍事的安全を維持する為の必要によつてのみ制限される旨の言論新聞に対する根本方針を明らかにしたが、右に伴つて聯合軍最高司令部は十日新聞記事その他報道取扱に関する具体的な指示を我方に通告して、

一、事実に反しまたは公安を害するべき事項を掲載しない事 。 二、日本の將来に関する論議は差支へないが、世界の平和愛好國の一員として再出発せんとする國家の努力に悪影響があるが如き論語を掲載しない事 。

三、公表せらぜらる聯合國軍隊の動静及び聯合國に対する虚偽の批判又は破壊的批判乃至流言を掲載しない事。

......の三点を指令して来た、然るにこの問題に対する指令を日本政府、新聞、ラジオが実行に移した態度については聯合國最高指令部は満足せず、かつ降伏以来のニュースの取扱において誠意を欠くものありとの認定のもとに同指令部は十四日一七時二九分、同盟通信社に対しニュースの撒布停止を指令したが翌十五日吉野同盟通信社長、大橋日本放送協会会長および河相情報局総裁等は宣傳対策局民間検閲主任「ドナルド・フーヴァー大佐」のもとに召集され、今後の宣傳に対する厳重なる警告をなした上、十五日正午を期して同盟通信社の活動再開に許可を與える旨通告された。
右の許可に當って提示された新聞、ラジオに関する指示の内容は『聯合國最高指令部の日本に対する言論統制』の具体的方針を明確にしたもので単に新聞通信、ラジオのみならず一般の言論に対しても同様の規制が行はれるものとみられるが、通告の全文は同日聯合國最高指令部渉外局から左の通り公表された。

マックアーサー指令部渉外局十五日發表=米軍宣傳対策局民間検閲主任ドナルド・フーヴァー大佐は十五日同盟通信社長吉野伊之助、日本放送協会会長大橋八郎、情報局総裁河合達夫、日本タイムス理事東々崎潔氏等の日本報道関係代表者を招致(強制連行)し同盟通信社は十五日正午より検閲を受けて報道事業を再開することを許される旨通告した。

フーヴァ−大佐はその際次の弁明を行つた。

「諸君が此処に招致されたのは新聞並びにラジオを通じて日本全國に配布されてゐるニュースの検閲に関し命令を受けるためである。
最高司令官は九月十日付けのこの問題に関する指令を日本政府、新聞並にラジオが実行に移した態度について満足してゐない。
マックアーサー元帥は日本の将来に影響する言論の自由の諸問題を論議することについては最小限度の統制を加ふべき旨を指令した。
この制限はその議論が眞実に反するものであつてはならない。
また公安を害するものであつてもならず更に正しく物事を判断する日本人をして国家の敗北から立ち上がるのみ努めることを阻害するものであつてはならないといふことである。
新聞の自由は最高司令官の最も愛好する物である、またその自由は聯合國が戦った処の重要なものの一つである。
しかるに諸君は右指令に盛られた顛開が語彙に託され偉ないやうな態度を示した、諸君は相協力して此の責任に対処しようとしなかつた。
降伏以來諸君はニュースの取扱において誠意を訣くことを暴露した。
それ故に最高司令官は一層厳重な検閲を指令し、また同盟通信社は昨日(十四日)一七時二九分公安を害するかの如きニュースを領布したかどによつてニュースの領布を停止せしめられ、一般に不安同様を與へた。
右の指令に違反するものは如何なる機関といへども同様に職務を停止されるのである」

マックアーサー元帥は、

「聯合國が如何なる点においても日本國連合國を平等であるとは見なさないことを明解に理解するやう希望している。
日本は文明諸国家間に位置を占める権利を容認されてゐない、敗北せる敵である。
諸君が国民に提供して來た着色されたニュースの調子は合も最高司令官が日本政府と交渉してゐるやうな印象を與へている。
交渉と言うものは存在しない。
さうして国民が連合国との関係における日本政府の地位について誤つた観念を持つことは許されるべきでない。
最高司令官は日本政府に対して命令する。
しかし交渉するのではない。
交渉は対等のものの間だに行はれるのである。
しかして、日本人は彼等が既に世界の尊敬や或は最高司令官の命令に関して折衝することが出來る地位を獲得したとは信じさせてはならない。
ニュースのこの傾向は即時停止されなければならぬ。

諸君は国民にこの旨を告げないことに依って公衆の不安を招いて ゐる。
諸君は日本の眞の地位について正しくない描為をしてゐる。
諸君が発表した多く の報道は眞実に反している。
日本国民に配布される総べてのものは今後一層厳重な検閲を受けるやうになるであらう。

新聞およびラジオの全面的な検閲が引続いて行はれるであらう。
為のニュースとか人を誤らせる様な報道は今後一切許さない。
また聯合國に対する破壊的な批評も許されない。
日本政府はこの方針を立證するやうな手段を直ちに実行するべきである。
もしもそれが行はなければ最高指令部がそれを行ふであらう。
同盟通信社は本日十五日正午を期して日本の国家通信社たるの地位を回復する。
同社の通信は日本のみに限られ、同盟社内に駐在する米陸軍代表者によつて百パーセントの検閲を受け、電話ラジオおよび電報を利用して国内に領布される。
また海外にある同盟支局からのニュースは此の禁止が緩和されるまでは使用してはならない 」

(朝日新聞 昭和20年9月17日付)



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